ミヒャエル・ハネケ監督の「ファニーゲーム」。今まで観た作品の中で一番理不尽で心の中が真っ黒になる映画です。夏のバカンスを別荘で過ごすためにやってきた一家にふりかかる、二人の青年による理由なき暴力。

「人を嫌な気持ちにさせるためだけに撮った」という監督の言葉で妙に納得してしまいました。

残虐なシーンが多いのですが、直接的な暴力シーンはフレームから外され、音とその結果だけが映されます。こういう表現の仕方がこんなにも心をざわつかせるのか、という事が一番印象に残っています。どこをとっても救いようがなくて、どうにも出来なくてやりきれない感情でいっぱいになります。

映画の中では「暴力」を魅力的に撮っているものもありますが、この作品は現実的な意味での暴力の悲惨さ・後味の悪さをよく表現していると感じました。